松下電器プロシードシリーズ
デジタル表示のBCLラジオの時代へ
クーガー2200、スカイセンサー5900などが大ヒットをしているさなか、松下電器(現パナソニック)から周波数のデジタル表示が可能なBCLラジオが発売。プロシードシリーズである。 雑誌やカタログに赤色で11.955MHzを表示しているBCLラジオを見た覚えのある人も多いだろう。発売されたのは短波帯の周波数デジタル表示が可能なプロシード2800と据え置き型のプロシード4800である。その後MW、FMまでデジタル周波数表示が可能なプロシード2600も発売された。 複雑なメカニズムと正確に書き込まれた目盛で5kHzを直読することを実現していたアナログBCLラジオが主流のときではあったが、1kHz単位で周波数を数字で直接読み取れるデジタル表示のBCLラジオは多くの人の目を引いた。 メーカ側からすれば複雑なギア構造などは酷使された結果、摩耗などによる不具合も出やすく、デジタル表示化は長寿命化と品質とコスト面で一役買ったはずだ。しかしそれ以上にデジタル表示化されたラジオはBCLマニアに強いインパクトを与えた。数字だけを合わせ受信する行為は当時では憧れであり、高い付加価値と捉えられたに違いない。
プロシード4800(RJX-4800)
プロシード4800はその巨漢から想像できるとおり、通信機器タイプの受信機に分類されている。RJXで始まるモデルナンバーからもそのことは推測できる。
プロシード2800と同じ時期に発売されたその外観は価格もさることながら最高級を感じさせるものだった。
そのサイズだが横幅はガードアームを入れて482mmもある。高さも200mmあるが、その横幅に圧倒される。奥行きは354mmあり、まさに大型据え置き型受信機の風格である。
いったいいくつのツマミやスイッチがついているのだろうと思うくらいの正面パネル、デジタル周波数表示の両サイドに設けられた大きなアナログ目盛窓、大小2つあるチューニングノブ、挙げればきりがないほどである。
またMW、FM、SW1を加えると10バンドにも及ぶバンド数もBCLマニアからすると憧れる対象となったのではないだろうか。
しかしプロシードシリーズのコンセプトを踏まえており、全体的なデザインやカラーリングを含め、周波数の赤色デジタル表示、手前に引くとギア比が変わるメインチューニングノブなど共通点が多数見受けられる。
当時のBCL少年達が雲の上のラジオと思わざるを得ない、そして強烈なインパクトを与えた受信機である。
前述以外にも通信機型受信機であることを主張するかのように設けられた両サイドのガードアーム、そして一見わかりにくいがシャシー(カバー)は金属でできており、完全にシールドされている。樹脂製ボディのプロシード2800との大きな違いである。 プロシード4800は外部アンテナを使うことが前提であり、ロッドアンテナは備わっていない。しかし他の通信機器メーカーTRIO(現ケンウッド)やYAESU(現バーテックススタンダード)などの受信機と大きく違う部分が随所にみられる。 あくまでもBCLマニアに受け入れてもらおうということが感じられ、その象徴として背面にはMW用のバーアンテナが装備されMWは外部アンテナなしで受信が可能、そしてFM放送も受信できる。 ところで内部の回路もプロシード2800と同等かというと、実は全く違う回路構成になっている。 デジタル表示機能を備えていることは一目瞭然であるが、プロシード4800ではクーガー2200での操作性向上に大きな役目を果たした周波数直線ダイアルを採用している。
デジタル表示ではあるが、メインチューニングノブの回転数と周波数の移動量が比例関係であることは、やはり操作性の向上に一役買う機能である。アナログ周波数表示窓を見ると、各バンドとも1MHz間隔の目盛が等幅であることから周波数直線ダイアルを採用していることが見て取れる。 またプロシード2800同様メインチューニングノブは手前に引くとギア比が変わる機構を備え、さらにMW、SW1、FMはSW2~8とは別のチューニングノブを備えている。2つのノブにより、SW2~8で設定したチューニングポイントを変更せず、MW、SW1、FM放送を自由に楽しめるあたりはメモリー機能のような役割を果たしてくれる。 回路方式に目をやると、基本回路はダブルスーパーヘテロダインではあるが、VFO(周波数を可変する発振部)は安定度が高いうえに5~9MHzを発振するVFOの周波数に水晶発振の周波数を混合して高い周波数を生成するアップコンバーテッド・プリミックス方式を採用し、不要な内部信号による妨害を排除している。 またWide/Narrowの切り替えによるフィルタの特性(鋭さ)はプロシード2800とは全く異なる通信機並みの性能を備えている。 その他にもANL(自動雑音制限)回路、アンテナトリマーツマミなども設けられ、可能な限りの贅を尽くした装備になっている。
- 機種名:RJX-4800
- 定価:99,800円
- 大きさ:482W×200H×354D(mm)
- 重さ:9.0kg(乾電池を含む)
- 受信周波数:10バンド
- FM:76~90MHz
- MW:525~1605kHz
- SW1:1.6~3MHz
- SW2:3~7MHz
- SW3:7~11MHz
- SW4:11~15MHz
- SW5:15~19MHz
- SW6:19~23MHz
- SW7:23~27MHz
- SW8:27~31MHz
- アンテナ:内蔵バーアンテナ(MW専用)
- スピーカ:10cm径
- 使用半導体:34TR+5IC+3FET
